本物そっくりのデジタルブック

ネットワーク技術の発展に伴って、読書や鑑賞の習慣も大きく変化している。以前は、ネット上の「ダイジェスト書庫」が人気を誇っていたが、今は画像ストックやビデオなどの専門のサイトも古臭く感じられ、誰でも望めば、自分の撮ったショートフィルムをネット上で公開することが可能になった。以前は、テキスト形式のメールマガジンを発信するのも、出版社が原稿を集めて行っていたが、今はFLASHで作った美しいマルチメディアマガジンすらビジネスにならない。誰でも望めば、自分で編集した本当の意味でのオンライン出版物を無料で発信することができるのである。

NTTPCコミュニケーションズ、インデックスなど11社が共同出資して設立したリガーズ社は、誰でも自由に無料で自分のデジタルブックを出版できるサービス、「stylelog」を公開した。FLASHテンプレートを活用し、興味や趣味にしたがってテキスト、画像、動画を配置し、ページをめくることができる本のようなデジタル式の雑誌や写真集や本を簡単に作ることができる。最初に無料の会員登録をすれば、「stylelog」上に2Gのデータを保存することが可能だ。

実は、二年ほど前に中国や台湾では、「マルチメディアマガジンブーム」が起こったことがあるが、それらのほとんどは専用のブラウザをダウンロードしなければ読むことができなかった。また、多くのサイトでは、ユーザーが無料で雑誌や写真集を作ることができるサービスも提供していたが、これらも専用の製作ソフトをダウンロードすることが前提だった。

現在「stylelog」には、画面表示のスピードが遅い、操作があまり簡単ではないなどの問題があるが、改造と改善が重ねられており、5月上旬には、これらのデジタルブックを有料で印刷、製本するサービスも提供される予定だ。個人だけでなく、商品カタログやレストランのメニューなどを作る企業や団体の利用も視野に入っている。リガーズ社は、3年で200万人の会員を獲得する計画である。

東京で見つけたおいしいもの

【さくさくの「象の耳」】「世界初製法のパン、象の耳」の看板をかけた車が、香ばしくてさくさくの「象の耳」を販売している。杉並区高井戸の無職の男性が、このユニークなスナックを発明し、今日では店舗一つと二台の販売車を持つまでになった。将来は日本各地に出店することを目標にしている。「象の耳」は直径15センチ、厚さ1センチ。作り方は簡単で、卵や牛乳を使用せずに手作業で作った生地を油で揚げ、さらに高温で焼く。普通の揚げパンのように高カロリーではなく、外側はさくさくしていて、今までになかった食感だ！シナモンシュガー、黒ごまきな粉、抹茶、ブルーベリージャムなどたくさんの種類があり、値段は一個250円から350円である。

【ボリュームの「ばくだん焼」】「ばくだん焼」は、2000年12月に吉祥寺に登場してから、あっという間に広がって、現在は池袋などに20ヶ所の支店を持つ。若者たちは店の前に長い列を作り、模倣した店は日本だけでなく、台湾にまで登場した！「ばくだん焼」の材料は、うずらの卵、ウィンナー、いか、コーンなど十種以上で、直径8センチ、重さ200グラムに焼き上げた、ボリュームのあるお好み焼きのような食べ物である。食べると、外側はカリカリしていて、中はとろとろだ。味がおいしいだけでなく、ばくだんの怪人のようなイラストがついたオレンジ色の箱も人気の秘密だ。一つたったの300円。彼女とデートの時に、一人が持って、もう一人が食べたら、あつあつ気分で幸せになれるだろう。

お笑いで人気のナベアツ

「3の倍数と3の付く数字だけアホになり、8の倍数だけ気持ち良くなります。」最近、あちこちのバラエティ番組で、数を数えながら身をくねらせるなどおかしな格好をして見せるタレントが、お笑いの流行の代名詞となっている。彼こそが、「世界のナベアツ」を芸名とする渡辺鐘（わたなべ・あつむ）だ。彼は去年の12月、テレビ番組の「爆笑レッドカーペット」で第5回レッドカーペット賞を受賞し、今年は、日本中のお笑いタレントが競い合う「R−1ぐらんぷり決勝大会」で第3位になった。そして、知らない人のない「スーパーお笑いタレント」になったのである。

この大阪出身の渡辺鐘は38歳で突然ブレイクしたが、実は17年の芸歴を持つベテランである。かつてはお笑いコンビに参加し、放送作家としても人気テレビ番組を作り出してきた。だが以前はまったく無名の存在だった。ところが最近になって、ふとした拍子に日本人の「笑いの琴線」に触れ、日本中を笑いの渦に巻きこむことになった。それが、数字を使ったコントだったのである。

「3の倍数と3の付く数字だけアホになります。」「3の倍数と3の付く数字だけアホになり、5の倍数だけ犬っぽくなります。」「3の倍数と3の付く数字だけアホになり、8の倍数だけ気持ち良くなります。」「3の倍数と3の付く数字だけ憤りを感じます。」「3の倍数と3の付く数字のときだけアホになり、8の倍数だけすごく疲れます。」……これらを他愛のない言葉と侮ってはいけない。その誕生には、なかなか面白い物語があったのだ。

これが、「世界のナベアツ」が一億人を笑わせることになる秘密だったのだ！正に「踏破鉄鞋無覓処、得来全不費功夫（鉄のわらじを履きつぶしても見つからないものを、ひょんなことから見つけた）」といったところだろう。このコントを、世界各国の言語でやってみてほしい。どこの国でも受けることがわかるだろう。もしかしたら、「世界のナベアツ」は本当に世界の人気者になれるかもしれない。

タバコ購入のためのICカード

日本たばこ協会（TIOJ）では、成人識別機能を備えたICカード「taspo」（タスポ）の販売を開始した。これは申請の時に審査を行って、発行される。発行手数料も年会費も不要で、有効期間は10年間である。今年の3月から、日本各地で少しずつ「成人識別たばこ自動販売機」の導入が開始され、やがては「taspo」を販売機の読み出し部分に入れて、成人であることが確認されなければタバコが買えなくなる。

ICカードの「taspo」にはプリペイド式の電子マネー機能「ピデル」がついており、事前にチャージしておけば、手元にお金がなくてもタバコを買うことができる。チャージは自動販売機で行える。この機能は、一部の愛煙家たちには大変便利に違いない。

「taspo」を申し込む場合は、販売店や「taspo」の公式サイトなどでフォームを手に入れて、パスポート、健康保険証、戸籍などの、名前、住所、生年月日が記載された資料のコピー、および顔写真を添えて郵送する。申請時に満20歳であることが最低条件で、あと1週間で成人するという場合でも受理されない。カードに本人の氏名、会員番号、顔写真がプリントされ、それによって本人かどうかが確認される。このようにして、譲ったり貸したりすることから起こる問題をできるだけ回避しようとしているのだ。

未成年者に喫煙をさせない方策として、社団法人日本たばこ協会、全国たばこ販売協同組合連合会、および日本自動販売機工業会は、日本中の56万5000台の自動販売機について、この確認装置を導入した。顔写真がついているかどうかは、コンピュータシステムの判別には無関係だが、それによってカードを他人に貸すことを防止しようとしているのだ。成人の喫煙者には若干不便になるが、未成年者の喫煙を防止する有効な手段となるだろう。

東京で20年の歳月を過ごして、都内の地名が話に出ると、たくさんの電車や地下鉄が交錯し、四方八方に伸びる路線図が無意識のうちに頭に浮かぶようになった。日本人の友達と話していても、もう「五反田」と「五反野」を間違えることもなくなり、祖国からの来訪者を案内していても、日本に来たばかりの時に「板橋」と「飯田橋」を取り違えた失敗を再びすることはない。

今目を閉じると、濃厚な油絵のような情景が目の前に浮かんでくる。20年前の、夕日が空の際を赤く染める秋の日の黄昏に、両手と背中に重い荷物を携えた青年が、見知らぬ駅の前にたたずんでいた。「日暮里」という郷愁を誘うような地名がこのとき記憶の中に刻まれ、人生の路線の新たな起点となったのである。

20年の間に何度か引越しを重ね、いろいろな経験もする中で、東京の地名は、時として私に感動や喜びを与え、また時として憂いや悲しみをもたらしてきた。「平河町」では、皇居のお堀に沿った道の新聞配達で勤労学生の汗を流し、「西荻窪」では、東京を横切るオレンジ色の中央線に揺られながら独身最後の日々を過ごし、優雅で豪華な洋風建築群のある「碑文谷」では、新婚生活を故郷西安の「碑林」にいるような気分で過ごし、「新小岩」では、庶民的で温かい人情に包まれて、初めて父親になる期待と不安の混ざった日々が慰められた。

そして今住んでいるのは、遠くに富士山や東京タワーやレインボーブリッジを眺める「晴海」である。東京湾の埋立地に浮かんだ奇跡のような場所で、陽光に照らされて揺れ動く紺碧の海面のように、憧れと理想と、そして希望を胸いっぱいに抱いている。

私の人生の中で、故国で成長した歳月と異国で漂泊した日々がほとんど同じ長さになったとき、東京の夢に溢れる地名の中に、真のユートピアを見つけたのである。