北欧の風物詩と出会う
北欧は童話と夢のふるさとだ。スウェーデンのメーラレン湖に舟を浮かべ、両岸の古い城砦や街を眺めていると、何もかもが古めかしく愛らしく見える。フィンランドの首都ヘルシンキはバルト海の乙女と呼ばれ、その優雅な様子に、略奪を尽くしたバイキングを重ね合わせることは難しい。デンマークは北欧最大の国家で、「世界で幸せ指数が最も高い所」と言われる。……北欧の美は、我々にとっては遥か遠く、ぼんやりとしたイメージしかない。アジアにいる我々が、どうやったら美しい北欧に近づくことができるのだろうか?
今回は、斎藤志乃さんの新刊本「北欧 かわいいものみつけた」と共に北欧に足を踏み入れ、遥かな窓を開いて、いつもとは異なる生活を味わってみよう。プリント模様は、北欧のイメージの重要な要素である。本の表紙には、淡いブルーの地にかわいい花が点在し、明るい色彩の組合せが憂鬱な気分を吹き飛ばし、北欧の風情を伝えてくれる。カラー128ページのこの本の中で、みなさんもきっと心にかなうかわいいものに出会えるに違いない。
フィンランド生まれの、よく知られたブランドに「マリメッコ」がある。この本では、「マリメッコ」のファッションや食器、バッグなどで目を楽しませることができる。著者はさらに、「野暮ロマンチック」と名付けたエプロンやテーブルクロスも集めており、ノスタルジックなレースが、隣の女の子のような甘さと可愛らしさを運んでくる。愛らしいアラビア、フィネルのキッチングッズや食器など、家の中の装飾品も手放したくない可愛らしさだ。
冬も夜も長いスウェーデンでは、刺繍のテーブルクロスなどの家庭用品の色は、明るい暖色系が多い。スウェーデン語の「fika」には「午後のお茶の時間」という意味があり、お菓子は気ままでシンプルなものが多い。このように質素な雰囲気が食器やカップのデザインにも浸透している。レースをつけた刺繍のテーブルクロス、クッション、単色の木質テーブル……スカンジナヴィア風の美しさが、さりげなさの中に純粋さを見せている。
デンマークの小さな街を歩くと、雑貨や小物も、街角のカフェも、とてもシンプルなデザインなのに、家にいるような温かさを感じさせてくれる。著者と一緒に、緑の中の刺繍美術館に行こう。太陽の光が枝の隙間を通り抜けて地面に模様を描くのを見ていると、不思議に温かい気持ちになる。幸せとは、とてもシンプルなのだ。
「北欧 かわいいものみつけた」は本日(5月20日)発売で、価格は1785円(税込)である。今日から6月6日まで、IDEE自由が丘店内で「北欧 かわいいものみつけた」展が行われ、本に出ているかわいいものたちが会場に登場する。みなさんもかわいいものたちと親しく触れ合ってみたくなりませんか? (葉子執筆)
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