2012年4月27日 第16号(通巻第310号)

渋谷の新しい小山登美夫ギャラリー

渋谷は以前から流行の発信地として知られているが、今再び「8/ART GALLERY/Tomio Koyama Gallery」の誕生により「アートの殿堂」として脚光を浴びようとしている。小山登美夫さんは東京藝術大学を卒業した後、日本のアーティストの実力を世界に伝えたいと考え、小山登美夫ギャラリーをオープン。当初のころは海外のアートフェアに積極的に参加し、さらに「現代アートビジネス」「この絵、いくら?」などの著書もある。「8/」のある渋谷ヒカリエの前身は東急文化会館である。文化の伝播を主旨として、日本の優秀な文化を伝え続けようとした東急文化会館の在り方は、まさに小山さんの目標と一致するものと言えるだろう。

ギャラリーのフロアは8つの部分に分かれ、数字で表現されている。「01/COURT」は約170平方メートルの開放的な広場で、各種デザインやアート作品の展示および映画の放映などが行われる。「02/CUBE1,2,3」は2週間ごとに展覧会が入れ替わり、様々なアート作品を鑑賞するだけでなく、最も新鮮かつ全面的なアートの情報に触れることができる。「03/ART GALLERY」は小山登美夫ギャラリーがディレクションする新しいタイプのギャラリーで、現代美術だけでなく、独特の目線で近代美術、工芸、古美術などのすばらしい作品を展示していく。「04/d47 MUSEUM」は日本の都道府県をテーマとしたミュージアムで、各テーブルの上に各地の誇る芸術品を並べている。「05/d47 design travel store」は日本各地の工芸品や特産物を集めたショップで、ギャラリーやCOURTのイベントとも連動している。「06/d47 SHOKUDOU」はD&DEPARTMENTが運営するカフェレストランで、渋谷の街を鑑賞しながら47都道府県からの様々なおいしいものを味わうことができる。「07/Creative Lounge MOV」はメンバー制のワークスペースで、クリエイティブな人々が集まって渋谷らしい作品を作り、世界に向けて発信する。

4月23日には「8/」のオープニングが行われ、外は雨が降っていたが、会場内は人で溢れ、オープニングパーティというよりはアートレクチャーという雰囲気だった。4月26日からはダミアン・ハーストの「New Spot Prints」展がオープニングエキシビションとして行われる。国際的に実力を認められたアーティストの代表作の一つで、「インタラクション(相互作用)」をテーマとし、白のキャンバスにカラフルな色のスポットを配置した作品である。この他、「02」では小山登美夫ディレクションの「透明な混沌/Crystal Chaos」展を見ることができる。今後この場所が、湧き続けるアートの泉となり、渋谷の無限の可能性を引き出していくことだろう。 。(Michelle執筆)

所在地 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ8F 営業時間 11:00〜20:00 電話 03-6534-1493

8/03/ART GALLERY http://www.hikarie.jp/8/03_artgallery/  小山登美夫ギャラリー http://www.tomiokoyamagallery.com/(日・英)


咲き誇る桜の花−御衣黄

ソメイヨシノは散ってしまい、赤い萼と細い花柄だけが残っている。今は江戸彼岸やウコン桜が満開の季節である。ピンクの花がかたまって咲く江戸彼岸と薄い黄色の優雅なウコン桜が風に吹かれて咲き誇っている。そしてそろそろ、御衣黄(ぎょいこう)の蕾が開き始めている。

御衣黄は桜の中では非常に珍しい緑色の品種で、蕾の時は鮮やかな黄緑色である。やがて花びらが開き始めると、玉石のような薄い緑色の花びらに濃い緑の模様が見られる。満開になると花の色は薄くなり、蕊(しべ)から花びらに向かって赤い線が走り、一本一本の線が柔らかな花びらの上に精緻で透明な血管を浮かび上がらせ、まるで玉石が呼吸し、魂を持っているかのように見える。そして散る頃になると、赤い色がいっそう鮮やかになって、中心部から美しい色彩がこぼれ出し、この生き生きとした鮮やかな色を持ったままみるみるしぼんでいくのである。

御衣黄は緑色の桜として、昔から知られていた。江戸時代には京都の仁和寺で栽培が行われていた。御衣黄という名前も江戸時代中期に命名されたもので、その由来は花の色が貴族の着る服の「萌黄(もえぎ)」と言われる色に似ていたことによる。萌黄色とは春の草が萌え出す時の新芽の緑色である。緑色ではあるが、「黄」と呼ばれていたのだ。日本だけでなく、中国の唐の時代にも「緑柳才黄半未堰vという詩句がある。ここでは「才黄」という言葉で柳の芽のかすんだ新緑を表現している。どうやら昔の東方の人々は、緑色と黄色を同時に連想して、草木の春の新芽の色を表現することが多かったようだ。

4月中旬、新宿御苑では様々な品種の桜が競って咲き、それは霞か雲のように美しく、たくさんの人々が花見に訪れていた。御衣黄の花が咲くのは4月下旬である。たくさんの桜の木がいっぱいに花をつけている中で、遅咲きの御衣黄は一人静かに立っていた。御衣黄は花に対して、柔らかな葉がかすかに赤い色を帯びており、花の色をさらにすっきりと冷淡に見せ、昔の文人才子のような風情がある。恥らうように半分ほどしか開いていないが、花の下にはその名を慕って多くの人が訪れていた。老眼鏡をかけて植物図鑑を見る人、望遠カメラを背負い、三脚を立てている人、拡大鏡を持って近くで観察する白髪交じりの人。珍しい品種で、高潔な雰囲気をたたえているため、御衣黄の周囲の雰囲気は他の桜とは異なっている。4月下旬になれば御衣黄は満開となり、美しい姿を風の中に広げ、その時にはすばらしい光景が見られることだろう!

御衣黄以外にも、黄緑色の花を咲かせるので知られる桜には、ウコン桜、須磨浦普賢象(スマウラフゲンゾウ)、園里黄桜(ソノサトキザクラ)、園里緑龍(ソノサトリョクリュウ)の四つの品種があり、2007年には御衣黄から仁科蔵王桜が人工的に作り出された。これらの緑色の桜はその珍しい姿で日本列島各地に咲き、爛漫の春の桜の中にちょっと変わった色彩を加え、他の桜とは異なる際立った姿を見せるのである。(李薊執筆、撮影)

緑の桜/御衣黄 http://www.nobi.or.jp/green-sakura/index.html



若林恵とモニカベイビーブルー

若林恵という名前は、流行に敏感な女性たちにはおなじみだろう。今年まだ28歳の彼女は人気モデルであるだけでなく、4歳の子どもの母親でもあり、さらに自らモニカベイビーブルーというブランドを企画して立ち上げた。若くて美しいお母さんというだけで充分に羨ましい存在だが、すばらしいスタイル、人気モデルという肩書き、事業における成功などによってさらに多くの人々の賞賛を浴びている。

若林恵さんは1984年6月25日生まれ。最初は、若い女性の間で大人気の雑誌「SEVENTEEN」に登場し、モデルとして多くの雑誌で活躍した。2007年にモデルの仕事を休止し、ファッションや芸術を学ぶためにフランスに留学した。そして2008年の出産後は、母親としての視線を生かしてベビー&キッズブランドのモニカベイビーブルーを設立した。それと同時に企業のイベントや商品企画、アパレルブランドの新規立ち上げのプロデュース、デコレーションプロダクトのデザイン、児童福祉などの事業も行っている。2012年4月には、一度休止したモニカベイビーブルーがリニューアルして再登場する。株式会社マルイチニットはモニカベイビーブルーのライセンス契約を果たし事業拡大を狙う。

2歳の赤ちゃんとママのお絵描きから、モニカワールドは生まれた。モニカベイビーブルーのテーマは、お菓子を食べるのが大好きなモニカの不思議な日常生活である。モニカのロゴである「モニカスカル」を中心に、キラキラアイテムや思わず食べたくなるような雑貨が主力商品となっている。しっかり者で、何でもお菓子に変えることができる魔法の杖を持つモニカ。彼女の弟はやんちゃでいたずらっ子のモカである。モニカワールドでは、モカが着ぐるみをチェンジして、いろいろなキャラクターに変身する。4月24日から26日まで、「Gallery ZOOMAN」で行われる「2012年AUTUMN COLLECTION」では、5月から続々と発売される新商品が一堂に集まり、sweetでAmerican popなモニカの世界観がいっぱいである。(ff執筆)

取材協力:下田優作、写真提供:若林恵

モニカベイビーブルー http://www.monicabb.jp/   若林恵オフィシャルブログ http://ameblo.jp/megumi-wakabayashi/



貞子になったケロロ軍曹

すべてが寝静まった深夜に、一人で家にいてテレビをつけると画面は一面の雪である。おや、雪の中に何かいるようだ。黒くて長い女性の髪。痩せて青白い女性の顔。髪が長すぎて表情が見えない。その顔が次第に近づくにつれて、だんだんはっきりしてくる。充血した目と、獰猛な笑い顔。なんて恐ろしい顔だ!もっと恐いのは、その顔がテレビの中から出てきて、叫びながら部屋の中に入ってきて……ここまで読んで、おそらく恐いと感じる人はほとんどいないだろう。たとえ世界で最も評価の高いホラー映画の一つであったとしても、多くの人がすでにストーリーをよく知っており、今さら恐いと感じるはずもない。そう、上に述べたキャラクターは、日本の有名なホラー映画「リング」に登場する、長髪でテレビから出てくることで知られた幽霊、貞子なのである。

貞子の物語が生まれて20年ほどが経ち、当時の映画手法は今の我々から見るとやや面白みのないところもある。しかしこの20年ほどの間に、ホラー映画に没頭する日本の映画監督たちは、テレビから這い出してくる貞子を何度も画面の中に押し戻し、新しい時代に合った新しいストーリーを加えて、最新の心理的暗示手段と編集手法によって、ホラー映画の伝説を語り続けている。ハリウッドは「リング」の版権を買って、二つのアメリカ版の貞子の物語「The Ring」を撮影した。今映画は3Dの時代に入り、スクリーンから飛び出してきて我々を恐れさせる貞子のすばらしいシーンがまた一つ増えることになった。みなさんも、3D版の貞子を是非見てみたいと思われることだろう。今年の5月12日に、「貞子3D」が日本の各大手映画館にやってくる。まったく新しい映像技術を使い、石原さとみも出演する「貞子3D」の新しい貞子は、我々にどんな忘れがたい体験を与えてくれるだろうか?

ところで、恐ろしい貞子のイメージはすでに多くの人に知られる存在であり、今や恐怖の効果はなくなり、毎日テレビでよく見られるような普通のイメージとなっており、むしろ可愛い存在に変化してきている。最近は、可愛くデフォルメした貞子をキーホルダー、携帯ストラップ、人形などにするメーカーも増えている。「貞子3D」の上映日が近づくのに伴って、ビデオ制作会社が角川書店やサンリオと協力して、可愛くて萌え死にそうな貞子のハローキティと、テレビから這い出してくる長髪のケロロ軍曹を発売した。このままいくと、貞子はそのうち本来の恐ろしいイメージを超越して、ドラえもんのような日本文化の代表的なイメージになるかもしれない。(凱特執筆)

2012.5.12公開「貞子3D」 http://www.sadako3d.jp/index.html



日本人の郷土愛

日本でバラエティ番組を見ていた時のことです。各地の出身者を代表するタレントが出演して、みなに映像を見せるという番組でした。映像の中には、その地方の名物や特殊な風習や方言などが出てきて、それに対してゲストがクイズ形式で答えるというものでしたが、どれもあまり見たことや聞いたことのない話題や内容だったので、その地方出身の人以外はほとんど正解者がいませんでした。正解が発表されると、スタジオ内では「なるほど〜」「へえ、そうなんだ〜」などの驚きの声が沸き起こります。どのタレントも自分の故郷のことをすばらしいと思っており、誇りにしている人もいます。正解が出た時に別の出身地のタレントが馬鹿にしたりすると、すぐに反撃して、出身地が異なる二人のタレントがたいへんな勢いで言い合ったりするので、すごく面白くなります。

本当に日本人の故郷に対するこだわりはたいへんなもので、私がもらうお土産でも、彼らの出身地の名物を買ってきてくれることが多いのです。郷土愛があるだけでなく、私がもう一つ日本人についてすばらしいと思うのは、各地方の商店街で必ず商店街振興組合を結成していることです。振興組合とは名前の通り、そこに住んで故郷を愛する商人たちが、心を合わせてその地区の商売を発展させ、収入が上がるように振興するために設立されたものです。確かに、一人で孤軍奮闘するよりみんなと肩を並べて戦った方が、不景気な時代に生き残りの道を進むことができるということは確かでしょう。

そのおかげで、外国人である私も日本で、視野が広がるようなすばらしい商店街をたくさん楽しんできました。カエルやヤマネコの伝説をテーマとした像や、有名なキャラクターの像を作って商店街や駅の周辺に飾り、アニメの雰囲気を出したり、話題を作ったり、お客を呼び寄せたりしているところもあります。これまでに私は、ウルトラマン、鬼太郎、葛飾区亀有公園前派出所の両津、名探偵コナン、銀河鉄道999、忍者ハットリくんのテーマを使った商店街に行ったことがあります。どの商店街も特色があり、各店が限定商品を売り出しているので、外から来た観光客は夢中で買物をし、記念品を買わずにはいられなくなり、その地区の経済に大きく貢献してしまいます。私の出身地にこんな可愛い商店街があったら、私もきっと誇りに思うことでしょう!(笑)

出身地に恩返しをする最もいい方法は、その地方のイメージキャラクターになることでしょう。自分の故郷のために宣伝をする一方で、自分も大きな収入が得られるので、なかなか悪くありません。みなさん自身が出身地の宣伝をするとしたら、故郷のどんな味覚を特に推薦したいですか?(哈日杏子執筆、撮影)

東京ドームシティ/故郷の味 http://www.tokyo-dome.co.jp/furusato/aji/  哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)



第16回 明治神宮

【明治神宮概要】明治神宮は1915年から1920年にかけて建てられた、明治天皇と昭憲皇太后を祀った神社である。日本全国から寄せられた大樹が12万本あり、品種は365種にのぼる。総面積は70万平方メートルで、東京都心で最大の緑地となっている。毎年正月の初詣には、三日間で300万人ほどの人がここで新年の幸せを祈願する。また、七五三などの行事で訪れる人も多い。

【神宮周辺について】神宮の本殿は第二次世界大戦で消失し、その後再建されて1958年11月に完成した。有名な表参道の終点は山手線を越える高架橋の「神宮橋」であり、原宿駅前から神宮に参拝する時に必ず通る道である。南側は代々木公園、西側は明治神宮球場、南の塀の外は表参道、正面は国立代々木競技場である(1964年に東京オリンピックのために建設された)。

【神宮の鳥居の話】神宮橋を過ぎると大鳥居がある。高さ12メートル、幅17メートル、柱の直径は1.2メートル、重さ13トンで、日本最大の木造の鳥居である。最初の鳥居は1966年に落雷によって破損し、台湾で建材用の巨大ヒノキを探すことになった。そしてついに海抜3300メートルの山の中で、樹齢1500年の大木を見つけ、1975年末に鳥居は再建された。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「鳥居」
場所:神宮橋前
撮影のポイント:しゃがんだ姿勢で撮影し、できる限りレンズを地面に近づけて鳥居と森林の高さを際立たせる。多くの人を入れずに、一人だけをレンズに収め、静けさと荘厳な雰囲気を強調した。
使用フィルタ:Inkwell(樹木と砂利の質感を強調すると共に、重量感のある歴史を感じさせる。)
タイトル:「朝陽」
場所:明治神宮内
撮影のポイント:早朝の朝陽が森林に差し込むのを描写するためには、前後の立体感が強く感じられる木を探す必要がある。さらに、太陽が見え隠れするようにして、放射状の光芒を表現することができた。
使用フィルタ:Hefe(画面の周囲をやや暗くして、森林の深さを強調した。)

タイトル:「酒樽の壁」
場所:明治神宮内
撮影のポイント:並べられた商品を撮影して、奥行きを強調する場合は、そろったラインを画面の外のどこかで交差させる必要がある。酒樽の後に伸びる枝と緑陰は、撮影した場所を明るいものにしている。
使用フィルタ:Earlybird(画面全体を薄暗い色調にして、古い映画のような効果を作り出す。)
タイトル:「朝の祈り」
場所:明治神宮外
撮影のポイント:早朝の出勤途中のサラリーマンが、敬虔な様子で外から神宮に対して黙々と祈っている。人物は画面の三分の一以下で、大半は樹木と草地が占めている。後方のカラスが重要なポイントになっている。
使用フィルタ:Sutro+上下のぼかし(画面の中ほどをやや明るくし、人物の顔を強調する。)

明治神宮 http://www.meijijingu.or.jp/  明治神宮の結婚式 http://www.meijikinenkan.gr.jp/jingukyosiki/


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