2012年10月26日 第41号(通巻第335号)

Docomoのしゃべってコンシェル

最近、スマートフォンの音声サービスアプリの人気が沸騰している。スマホに向かってしゃべると、適切な答えが返ってくるというものだ。「このへんにいいカフェはある?」というような質問だけでなく、「オバマ大統領が昨日の演説で着ていたスーツについてどう思う?」などという質問もできる。こんな夢のような人と機械の対話が、今や現実のものとなっているのだ。

機械との対話アプリでいちばん有名なのは、iPhoneのSiriである。だが言葉は文化から生まれるものだから、アメリカ人の作ったSiriが東アジアに来ても、必ずしも使いやすいとは限らない。言葉のサービスを現地化することが、今後は重要なビジネスチャンスとなるだろう。そのため、多くの業者はこの新しい需要に注目しており、日本では通信サービスのトップ企業であるNTT Docomoが先ごろ大きな一歩を踏み出した。

NTT Docomoは、日本市場でSiriに勝るシェアを獲得するために、独自のアプリを発売したのである。そのアプリの名前は「しゃべってコンシェル」と言い、発売と同時に日本のスマホ愛用者の間で大きな話題となった。話題のポイントは二つある。一つは、ユーザーがアプリのキャラクターを自分で決められるということだ。Docomoは版権の協力関係における実力を発揮し、ハローキティ、ちびまる子ちゃん、けいおんなどのアニメやマンガのキャラクターだけでなく、有名な司会者やお笑いタレントなどを含む数十種の中からキャラを選ぶことができる。きっとみなさんの好きなキャラも含まれているはずだ。

だが「しゃべってコンシェル」が注目を浴びる最大の理由は、二番目のポイントだろう。音声サービスは新しい技術であり、アップルにしてもDocomoにしても、すべての技術を完全に把握しているとは言えない。そのため、「しゃべってコンシェル」では、不思議な答えが次々に登場し、中にはかなり笑える答えがあるのだ。ネットの掲示板では、「しゃべってコンシェル爆笑回答集」を見ることもできる。その中の一部を、ここでご紹介しよう。科学技術の進歩によって、音声サービスアプリの機能が向上することを期待しつつ。
 
Q:「銀行は何時までやっている?」A:「明治時代。」
Q:「最近人気のある猫は?」 A:「犬。」
Q:「可愛いね。」A:「そんなこと言われたって嬉しくないんだから。」
Q:「ソフトバンクに乗り換えようかな。」A:「私もそう思っていました。」
Q:「今夜のご飯は何がいい?」A:「インターネットでお調べしたら、ごま油です。」(凱特執筆)

(C)2012 NTT DOCOMO, INC.

NTT Docomo 「しゃべってコンシェル」 http://www.nttdocomo.co.jp/service/information/shabette_concier/

不思議な「透明」プリウス

10月25日から日本科学未来館で開催される「デジタルコンテンツEXPO2010」で、慶應大学の研究チームが開発した透明なプリウスが展示される。プリウスの後部に設置されたカメラが撮影した映像が後部座席に投影されて、車体が透明になっているように感じられるというものだ。これによって運転時に運転者の死角が大幅に減少し、安全性と安心感が高まる。この技術は、車をバックさせるのが苦手な人の救世主となるかもしれない。

トヨタ車の人に優しい設計の一つであるバックガイドモニターは、多くの車種に搭載されている。また自動的に駐車する機能を持つ車もある。だが、これらのハイテク技術を用いても、やはりバックでぶつけてしまう人もいる。そこで慶應大学の研究チームは、バック時に車が透明になる技術を開発しようと思い立ったのだ。これは実際には、車体の後方の背景を投影するカムフラージュ技術「光学迷彩システム」であり、すでに十年前から存在している技術である。

透明プリウスの原理は、車体後部に取り付けられた3つのカメラが撮影した映像がコンピュータによって合成・調整されて後部座席に投影され、人間は鮮明で流れるような、まったく不自然さを感じさせない映像を見て、座席が透明であるような錯覚を覚えるというものだ。投影面の座席には、再帰性反射材のビーズが多数織り込まれており、デモ車では、運転席のヘッドレストにディスプレイも組み込まれる。現在の技術では、プリウスを360度透明にすることはできないが、透明自動車の実用化もすでに手の届かない存在ではなくなっているようだ。

研究チームを率いる稲見昌彦教授は、長年にわたって光学迷彩技術に着目してきた。稲見教授は、「開発目標は、運転者がガラスの自動車を運転しているように感じることだ。SF作家のアーサー・C・クラークはかつて、高度に発達した科学と魔法は見分けがつかないと言ったが、私は魔法のような技術を開発したい。」と語っている。研究チームは、この技術がいつ商品化されるかについては述べていないが、使用する材料とビデオカメラの価格が下がれば、商品化は現実のものとなるだろう。ただその頃には、自律走行車がすでに普及していて、透明自動車に対する需要はなくなっているかもしれない。だが、有名な光学迷彩技術が商品化に一歩近づいたのだから、機会があれば是非会場に行って、この特殊な体験をしてみたいものだと思う。(ff執筆)

(C)Keio University

透明プリウス研究室 http://blog.ecocar-kaigi.jp/toumei/

阿蘇の魅力が詰まった本

九州の熊本県の阿蘇市では、有名な火山である阿蘇山を訪れたり、農場ですばらしい農村の景色を楽しんだりすることができる。熊本が「火の国」と呼ばれるのは、阿蘇山があるからというだけではないのかもしれない。村落の農場まで歩いていくと、「火の国」で暮らす現地の人々の純朴な情熱を感じることができるのだ。作家の福田章さんがここに定住し、阿蘇について世界に伝える努力をしているのも、このような人々の魅力に惹きつけられたからなのだろう。

作家でエッセイストの福田章さんは、1958年に長崎県に生まれ、青山学院大学文学部に学んだ。現在は、企画・出版会社「ソクラテス」の代表で、日本エッセイスト・クラブの会員である。著書には「旅に出たくなる日本語」「カルデラ・ショック!」などがある。98年に阿蘇に移住した福田さんは、近年、阿蘇について世界に宣伝するために努力しているが、今回「カルデラ・ショック!」が中国語と韓国語に翻訳されることになった。この軽妙な筆致の想像力に満ちた物語によって、隣国の人々に阿蘇の魅力が伝えられることだろう。「カルデラ・ショック!」の中国語タイトルは「阿蘇的不可思議」(阿蘇の不思議)で、短編小説が30篇収められている。写真もついており、小説を読むだけでなく、阿蘇の旅行ガイドとして読むこともできる。中国語圏のみなさんがこの「阿蘇的不可思議」を手に阿蘇の街を歩けば、美しい風景を鑑賞すると同時に、小説によって美しい景色につつまれた物語を味わい、身も心も充実した旅を楽しめることだろう。

この本を中国語に翻訳したのは、熊本県国際協会に勤める霍達さんである。霍達さんは92年に日本に留学し、現在は仕事のかたわら、ボランティアとして積極的に外国人向けの日本語教育活動に参加している。今回の小説集の中国語訳には、著者の新作である「二つの博覧会」も収録されている。これは著者が2010年に阿蘇ペンクラブのメンバーとして上海万博に参加した時の体験をテーマとした創作である。異なる視点から描かれた小説によって、我々は外国人作家が見た上海万博についても知ることができる。

昔から、「万巻の書を読むは、万里の路を行くに如かず」と言われる。旅に出ると我々は、日常生活では見たり感じたりできないものを得ることができる。だが、旅に出る時に自分の好きな本を一冊携えていけば、電車の中で暇つぶしをするだけでなく、本によって心も旅に出ることができるのだ。いつかみなさんが阿蘇に行く時は、是非この「阿蘇的不可思議」を持っていってほしい。書名の通りに阿蘇の不思議の中に浸って、旅を満喫することができるだろう。(小雅執筆)

写真提供:福田章

「旅に出たくなる日本語」 http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-00790-8

結婚と経済モデル

最近日本では、お見合いや職場結婚が減る傾向にあるそうだ。結婚適齢期に入った男女は、自分で結婚相手(商品)を探し、相手と自分の条件を判断して、他人と競争(オークション)をし、結婚(購入/交換)をせざるを得なくなっている。これは正に、商品経済のモデルにそっくりだ。このような「結婚市場」では、しっかり両目を見開いて相手と自分の「価値」を見定める必要がある。そして「学歴」は「価値」の重要な構成要素となっている。面白いのは、相手に対して希望する学歴が、男性と女性で一致していないということだ。

20代から40代の2000名の独身男女に対して行ったアンケート調査では、「無名の大学出身者でもかまわない」とする男性が多かったが、女性は正反対だった。国立大学や早稲田大学などの一流大学を出た女性のうち、相手に同等の学歴を望む人は64%に達したのである。早稲田大学で「恋愛学入門」を担当する森川友義教授によれば、「男女の考え方の違いは明らかで、男性は女性ほど学歴を重視していない。女性は相手の学歴が高ければ高いほどいいと考える」のだそうだ。

また、森川教授の早稲田大学の学生に対する別の調査では、「フリーターで年収100万円の水嶋ヒロと年収2000万円の弁護士、出川哲朗ではどちらと結婚するか」という質問に対して、65%の女性が出川を選んだという。身長180pのイケメン水嶋が、160pのお笑い芸人の出川に負けたのだ。言い換えれば、女性は男性の外見よりも経済能力を重視しているということになる。明治大学の諸富祥彦教授は、2008年に「婚活」という言葉が誕生してから、学歴重視の傾向が強まったとしている。特に女性は安定を望むので、収入と密接に関連する学歴に着目するようになったというわけだ。諸富教授はさらに、すでに結婚している大学院生の女性の「いい物件(男性)は早くセリ落とさないと売れてしまう。」という名言を紹介してくれた。

だが、女性の学歴重視の結果、当然のことながら、高学歴の男性は売れ行きがよく、高学歴の女性は売れ残るということになる。これもまた悲しいことだ。だが筆者は、学歴や経済能力だけでなく、性格や共通の趣味なども結婚における重要な要素だと思う。恋人たちが、みんな幸せな結婚ができますように!(秋桜執筆)

「結婚異変」2000人調査! http://president.jp/articles/-/7364

可愛い桃太郎の祭りずし

日本の駅弁は、鉄道ファンにとって逃すことのできない逸品ぞろいです。駅弁は、その土地の特産物の味を最もよく味わえるし、旅行中のすばらしい味覚と視覚の思い出を残すこともできます。岡山駅限定の、デザインがすてきな「桃太郎の祭りずし」は、駅の弁当屋での売り上げナンバーワンだそうです。パッケージの上には伝統的な桃太郎の絵が描かれ、開けると弁当箱の形が可愛いピンク色の桃になっています。

桃太郎については、岡山との関係を説明しなければなりません。昔々、子どものいない老夫婦がいました。ある日、おばあさんが川で洗濯をしていたところ、上流から巨大な桃が流れてきました。家に持って帰り、おじいさんが桃を切ってみると、中から赤ちゃんが出てきました。そこで「桃太郎」と名付けて育てました。老夫婦が住んでいた地方は、昔から鬼が暴れて困っていました。成長した桃太郎は、おばあさんが作ってくれたキビ団子を持ち、途中で犬、猿、キジを従えて、鬼が島に行って、鬼退治をして帰ってきました。

この物語を聞いたところでは、岡山とはまったく関係がなさそうですが、ポイントは桃太郎が持っていったキビ団子にあります。キビは穀物の一種ですが、キビ団子と岡山名物の「吉備団子」とは発音が同じなので、物語の発祥の地が岡山とされたのでした。岡山はちょうど桃の産地でもあったことから、岡山と桃太郎が結び付けられたということもあります。ついでに言うと、「吉備」は備前、備中、備後、美作地方の昔の地名で、現在の岡山県に当たります。みなさんも岡山駅のあたりにいらっしゃれば、桃太郎の銅像も見られるし、いろいろな商品や施設の名称のほとんどに桃太郎の名前がついているのがわかるでしょう。例えば岡山で生産が盛んなぶどうは桃太郎ぶどうだし、桃太郎土産店、桃太郎温泉、桃太郎ジーンズもあります。本当に「鬼ノ城」もあって、観光することができます。

是非このおいしい「桃太郎の祭りずし」を食べてみてください。お弁当の内容は、2004年に更新され、一つ1000円のお弁当の中には私が大好きな、岡山の備前米で作られた寿司飯が入っており、上にはきれいな黄色の錦糸卵が敷き詰められ、タケノコ、海老、焼き穴子、シャコなどの魚介類がたっぷり載っています。また、ご飯の上に乗っている灰白色の魚は、岡山県の有名な郷土料理のままかりで、とてもおいしいのです!お弁当にはキビ団子は入っていませんが、食べればたちまち元気百倍、私は新幹線の座席で爆睡したのでした(笑)。(哈日杏子執筆、撮影)

桃太郎の祭りずし製造/株式会社三好野本店 http://www.miyoshino.com/ 
  哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)

第41回 巣鴨

【巣鴨の概要】「おばあちゃんの原宿」と呼ばれ、観光、ショッピング、飲食などの機能を一体化した、「銀髪族」向けの商業地区である。1キロも続く「巣鴨地蔵通商店街」で最も人々を惹きつけるのはお年寄り向けの洋服店である。その他、たくさんの薬局や高齢者用の健康器具店が並んでいる。街には葬儀社が二軒と、70年代の歌専門のカラオケバーが一軒ある。

【行き届いたサービス】足の不自由なお年寄りのために、歩道は車椅子が通りやすくなっており、老人の目に優しくないネオンの代わりに、昔ながらの手書きの看板を使っている。ファストフードの店が少ない代わりに、和菓子の店舗が多い。駅前に一つだけあるマクドナルドでは、カタカナのメニューをわかりやすい日本語に直している。多くのお年寄りは、ここを歩くことを重要な社交行動と考えている。

【高岩寺】400年の歴史を持つ古い寺院である。1891年に巣鴨に移転し、1945年に空襲で焼失したが、1957年に再建された。どんな病気でも治るという霊験あらたかな「とげぬき地蔵」を祀っている。境内にある聖観音(洗い観音)は、像をこすり洗うと病気が治ると言われている。背中を洗えば背中の痛みが取れ、足をこすればリューマチが治るといった具合だ。それで、日本全国から来る高齢者が引きも切らない。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「凛として」
場所:庚申塚交差点附近
撮影のポイント:商店街出口のアーチを見上げて撮影した。太陽の光がレンズに直接入らないように注意し、アーチと電線の45度の対角線が交差する構図で、動きの中に安定感を求めた。
使用フィルタ:Sutro+彩度(周囲を暗くして巨大なアーチの文字を目立たせる。フレームの装飾効果。)
タイトル:「傘屋」
場所:巣鴨地蔵通商店街内
撮影のポイント:通りの反対側の景色を切り取り、雨傘、壁面、地面をほぼ三分の一ずつの構図にした。そして人が通るのを待ち、チャンスを捉えて何枚か撮影し、最もよい一枚を選んだ。
使用フィルタ:Hete+彩度−フレーム(壁面とカラフルな雨傘を強調する。フレームを除去してパノラマのような効果を出す。)

タイトル:「洗い観音」
場所:とげぬき地蔵尊
撮影のポイント: 隠し撮りで10枚以上撮ってから、人物が最もたくさん入り、動作、表情が最もよく、動きが感じられる一枚を選んだ。映画の画面のようにするには、フィルタを使用すると最も理想的な効果を得られる。
使用フィルタ:Sutro+彩度+周囲のぼかし(暗い映画の画面のようなイメージ。フレームの装飾効果。)
タイトル:「塀の内外」
場所:真性寺
撮影のポイント:仏像と道路修理工、そして寺院の塀が、巨大なもの、小さなもの、静寂、移動などの対比を形成している。青い空、寺院の壁、像、作業服など、色彩の対比が強烈でありながら調和している。
使用フィルタ:Hefe+彩度+対角のぼかし(右側の建物はテーマと関係ないのでぼかした。フレームの装飾効果。)

巣鴨地蔵通商店街 http://www.sugamo.or.jp/   すがもネット http://www.sugamo-net.com/

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