哀愁の現代美人画
昨年末に開催された「第24回デザインフェスタ」の会場で、赤を基調とする独特なスタイルの展示ブースが多くの来場者の目をひきつけていた。形もポーズもさまざまに変化する数十枚の美人画が、壁面の高いところまで展示されていた。絵の中のヒロインたちの笑ったり顔をしかめたり、喜んだり悲しんだりの表情の一つ一つが、いわく言いがたい淡い哀愁を漂わせている。これらを描いたsioux(スー)自身もまた赤い服に身を包み、微笑の中にクールで気品溢れるアーティストの気質を感じさせる。
siouxは東京造形大学デザイン学部の出身である。彼女の美人画はすべて手描きで描かれており、現在のようにコンピュータで作る芸術作品が氾濫する時代にあって、他のものとは一線を画した独特な風情を保っている。siouxは自分に最も合ったテーマと画材を選んで、コンピュータでは伝えることができない美しさや、彼女だけが持つ個性的な世界観を、見る者の前に展開してみせる。
siouxは自分の描く作品を「現代美人画」と呼ぶ。選ばれるテーマもモチーフもみな女性である。これらの手描きの美人画は、ファッションイラストレーションとしてだけのものでもなく、強い芸術性を表現するためだけのものでもない。彼女が絵を通じて表現したいと思っているものは、女性が「華」として咲くと同時に、その内側に秘めている血よりも濃い感情といったものであり、見る人が、単にファッションだけを感じるのではなく、その中に含まれているもっと深いものを感じとってほしいと願っているのである。siouxはこれを「昇華表現活動」と呼んでいる。
これらの淡い哀愁を漂わせる「現代美人画」に向き合う誰もが、内心の深いところにある琴線に触れられ、心を動かす音楽が奏でられるのだ。
【siouxプロフィール】
1999年6月 webギャラリーを開設
2002年7月 カナダのトロントで開催されたHYPE TOKYO2002展に出品
2002年11月 4人画集「大絵都綺想譚」を自費出版
2003年から、毎年デザインフェスタに出展
【siouxの主要作品】
都営地下鉄大江戸線 1日周遊券ポスター
東京都消費者センター「悪質商法被害防止撲滅キャンペーン」ポスター・パンフレット等
株式会社バンダイナムコ携帯待受画面
ANNA SUI COSMETICS 2006年秋の商品パンフレット
Star Warsキャスト サイン会&トレカフェスタ・ポスター
在日外国人向けのフリーマガジン「J−LIFE」カット |