日本のファッションを海外に発信する「東京発 日本ファッション・ウィーク」(JFW)は3月12日〜20日、国内外多くのマスコミに注目される中、盛大に行われた。2007〜2008年の秋冬の新作を発表するこのイベントに38ものブランドが参加し、メイン・イベントである「東京コレクション」でファッションショーを行った。その他にも「美」を追求するイベントが多数開催され、東京の街がいつも以上に生き生きとした一週間になった。今回は謝が取材を行いました。皆さんに現場の雰囲気がわかるようにお伝えしたいと思います。(取材・執筆・撮影 謝晨)






















東京コレクション
四回目となる今回のJFWは日本橋を中心に行われたのだが、日本橋では大小二つの特設テントを建てて会場としていた。中に入れるのは百貨店や専門店のバイヤー、プレス関係者、その他ファッション界の人など招待客のみであった。一般者は中には入れないが、特設テント前に設置された大型スクリーンに前日のショーを放映していたので、ここでチェックできた。会場の真ん中にランウェイがあって、周りを招待客らが囲む形になっている。ランウェイの先にはカメラがざっと30、40台ほどあり、ここでシャッターを押しているのだ。海外から来た報道陣もたくさんいた。ちなみに最前列に座っている人は大体特別招待されたVIPで、皆さんは本当におしゃれで、上品だった。私は早めに会場に行ったので、なんとか二列目の席をゲット!近い分だけ迫力がすごかった。

everlasting sprout
このコレクションは東京駅そばにあるTOKIAという会場で行われた。ショーが始まるまでは、静かに降る雨と時々鳴り響く雷の音が会場を包み、5月の雨降る夕方を思わせる雰囲気だった。デザイナーの村松啓市さんと関紀子さんはニット作家としても活躍されており、柔らかいニットとコットンとの異素材ファッションが目立った。色はオレンジ、グレー、赤、ベージュを基調にし、今年流行したウェッジソールや太いヒール、ニーハイソックスを使うものも多かった。

JOTARO SAITO
「平成百鼠」をテーマにしたこの着物ファッションショーには着物で来場した方も多く、外国プレスを魅了していた。テーマにあるように、グレー・黒・藍・茶といったシックな色遣いだが、大柄なストライプや千鳥格子、チェック、扇子柄を大胆に使い、少しも地味さを感じさせない。またレースやキラキラした金銀の糸、箔を部分的に入れることで、モダンでフェミニンな女性を演出していた。外国人モデルをも起用し、「伝統の新しさ」を見事に表現していた。デザイナーの斉藤上太郎さんも着物姿で登場し、趣あるショーだった。

doho
このブランドはすでに韓国に34の店舗を展開し、中国大連のコレクションにも参加しているなど、早くからアジアに進出している。大胆なカッティングと手工芸的なディテールが特徴的で、レース、サテン、ベロアといった柔らな素材とレザー、毛皮などの異素材コラボレーションが目をひいた。色は茶、カーキを基調に、差し色に緑、パープル、ブルーを入れて、比較的色鮮やかに仕上げている。金色のニーハイブーツもインパクトがあった。毛皮が多く使用され、現代女性の野生的な面と、華麗さを感じさせる演出だった。

YUMA KOSHINO
このブランドは個人的には一番気に入ったブランドである。“Spiritual Luxury”をテーマにし、自立したエレガントな女性を演出しているという。ここでもやはりグレーが多く登場し、エアリーなシルエットを多く表現していた。フラワープリントには差し色としてピンク・ブルーを使い華やかさを出している。アウターはウールもあったが、ホワイトのウォーミーでボリューム感のあるざっくりニットが主流だった。そして私が一番好きなのはドレスであった。定番の黒だが、デザインは斬新なのだ。上品でエレガントで、一度着てみたいものです。

SOMARTA
イッセイミヤケの下で経験を積んだ後このブランドを立ち上げた廣川玉枝さんのショーはマスコミが最も注目したブランドの一つである。キラキラしたスタッズやレースをまんべんなく施した全身タイツのような物を身にまとい、その上に更に服を着るという、なんともユニークな発想を展開していた。「PROTEAN 変幻自在な人」をテーマにし、スペースを想像させるような異空間なファッションだった。硬い金属を大半使った服もあり、ますますその発想に驚かされるばかりだ。ここでも柔らか素材、ニット、異素材コラボレーションが見られ、今後も目が離せないブランドである。

Carre HERMES
今回のファッションウィークのイベントの一つであるCarre HERMESはエルメスのスカーフプリント工程を見せてくれるというもの。エルメルに憧れる私は行かない訳にはいきません!
このイベントは日本橋三井タワーで行われ、このイベントのためにフランスから職人が来ていた。
エルメスのスカーフには毎回テーマがあるのをご存じですか?今年の新作は「ダンス〜さぁ、踊りの輪に〜」というテーマで、ダンスをモチーフにした物を展開していた。今回プリントしていたのは「新体操のリボン」をモチーフにした物で、8色からなっている。これは少ない方で、30、40色からなっている物もあるそうだ。
プリントにはシルク布、シルクスクリーン版、インクが必要である。シルクスクリーン版とは刷版の事で、インクが通る部分と通らない部分がある。
シルク布の上にシルクスクリーン版を載せ、更に上にインクを置く。ゴムべらで均一の力と速さでインクを伸ばす。これで一つの色が終わり、色の数だけ繰り返すが、決して単純な物ではない。色を載せる順番はきちんと決められていて、図柄によって使うゴムべらも違うのだ。シルクスクリーン版を図柄にぴったり合わせる細かい作業もある。また、シルクスクリーン版は9kgと非常に重く、実は結構力仕事なのだ。
エルメスの職人は、見習いと研修を4年経てから、やっと簡単な図柄ができるようになるのだそうだ。これでその難しさがわかりましたか?
プリント作業が終わった後も、蒸気過熱、洗濯、ふちどりなど、まだ様々な工程があるという。最後に3人による品質チェックを経てやっと完成といえる。上質のために少しも妥協を許さないその姿勢は全く敬服に値する。値段が高いのも納得だ。
さて、ここで職人直伝のスカーフの取り扱い方法について紹介することにする。
1.絶対に自分で洗濯せず、高いクリーニングに出すこと。
2.香水をつけてから、スカーフをすること。
3.雨に濡らさないこと。
私はこのイベントを見てますますエルメスが好きになりました。一生懸命な職人の姿を思い出したら、スカーフをぞんざいにすることなんてできません。皆さんにもエルメスをもっと好きになってもらえたら幸いです。

ファッションチェック
皆さんは日本のファッションも気になるところだろう。東京ファッションウィークに来ていた人々はみんな本当におしゃれでした。いくつかを写真に納めたので、是非楽しんでいただきたい。
A こちらの女性はとてもカラフルな着こなしだ。水玉に花柄にボーダー。赤に黒に金に青。それにしても柄物が多いですねぇ。
B  ピンクのハート型のバッグがとても目立った。Barbieの物だったと思う。足下も華やかで、彼女にとても似合っていた。
C このグループの中では私は左から二番目の女性のファッションが好きだ。カジュアルだけど、セレブ感が出てる。
D 一番右の男性はジーンズにスーツのジャケットを合わせている。おしゃれな人はみんなこうしていますね。私も良いと思う。
E 彼女たちは全員おしゃれだ。個人的には左から2番目と右から3番目が好きです。色の合わせ方が上手だと思う!
F こちらはマダムたちだ!皆さん本当に上品でエレガントでお綺麗だった。バッグもブランドものが多かった。

来年の秋冬ファッション、勝手に大予想!!
色・・・基本色は今年に引き続き「グレー」が台頭か。差し色にはグリーン・ブルー・ピンクが要チェック。メタリックな金・銀・キラキラも注目だ。
素材・・・レース・ニット・サテンなど柔らか素材が多くなりそう。また異素材とのコラボレーションブームもやってきそうだ。アウターはざっくりニットがトレンド。毛皮も挑戦してみては?
アイテム・・・今年に引き続きウェッジソールとニーハイが流行しそう。タイツは黒よりも白やベージュの厚手の物を選ぼう。
シルエット・・・Aラインが注目されそう。上半身はタイトに、下半身はボリューム感を強調して。
柄・・・千鳥格子とチェックは大きめな柄が流行しそう。花柄は大きな物よりも小さな物を(全ての写真をクリックすると大きな画像を見れる)

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