それは青空が澄み渡り、五月末とは思えないほどの暑さだった。しかしそれ以上に熱い人たちがいた。5月26、27日に東京ビッグサイトで開かれた「デザイン・フェスタVOL.25」に集まった6000人以上のアーティストやクリエーターと51000人以上の来場客である。アーティストたちは作品を通じて自分たちの思いを思う存分表現し、来場客らはその美しさ、情熱、感動に酔いしれた。

「デザイン・フェスタ」は「日ごろ創作活動を行っているアーティストやクリエーターに作品発表の場を提供しよう」というコンセプトで企画され、1994年に始まり、年二回開催されている。3から93歳と幅広い年齢層のアーティストが世界各国から集まるアジア最大級のインターナショナルアートイベントである。出展するには、「オリジナル作品である」という条件以外、出展時の審査もなく、広く多くの人に見てもらえる貴重なチャンスだ。来場者数、出展者数、出展スペースともに年々増加し、ウェブや口コミ、メディアの取材などでこの人数が集まるのだという。

会場は大きくブースエリア、ショースペース、映像スペース、レストラン&カフェ・バーエリアに分かれており、東京ビッグサイトの西展示棟全域を占めたほか、野外にはライブステージが設けられた。絵画・人形・アクセサリー・ライブペインティング・パフォーマンスなど、様々な表現がそれぞれのスペースにあふれ、人々を魅了した。25回目を迎えたデザイン・フェスタのパワフルな熱気と賑わいを共に体験しよう。(画像をクリックすると大きい画像が開きます。)取材・執筆 謝晨、撮影 姚遠

ブースエリアには2600以上のブースが設けられ、数々の表現が繰り広げられた。世界中のアーティストが自由なスタイルでオリジナル作品を展示、販売、発表できる。オリジナルTシャツやアクセサリー、小物、イラスト、キャラクターグッズなどの出展が多かったように感じられる。作品を見て回りアートを堪能できると同時に、一部、世の中にたった一つしかない作品やグッズを購入できるという楽しみもある。ここではいつくかを紹介しよう。

 

清水一忠( simizzy ) / 日本】
デザイン・フェスタ第二回から連続出展しているsimizzyさんはデザイン・フェスタの常連者である。自由に表現している人達が一挙集結するデザイン・フェスタに出展して、新しい自分にどんどん変わって行き、作品を発表することの楽しさに感動を覚えた。以来このイベントを個展の場と位置付けて創作活動をしてきたのだから、デザイン・フェスタは彼の原点ともいえる。「たけしのだれでもピカソ」という番組にも出演したことがあるほどの実力だ。
ナチュラルアーティストであるsimizzyさんは今回木材で造った玩具を主に発表した。「デングリー」という世界最小の絶叫マシーンや「かたこん」という前進することができる木馬など、温かみがあり親しみやすい一方、物理や人生の哲学など玩具に止まらないものを教えてくれる。子供から大人までが楽しむことができ、多くの来場客が夢中になって遊んだ。

俊龍( Michael Theil ) / 香港】
彼は現在香港のアメリカンスクール9年生に通う14歳の男の子だ。この若さにしてデザイン・フェスタに出展するほどの一人前のイラストレーターとなり、とてつもない才能の持ち主である。彼は幼い頃から、『バッドマン』、『スラムダンク』、『ドラゴンボール』そして『イニシャル D 』などのマンガを愛読し、それらの影響を強く受け、マンガに対する憧れを抱いた。学生である傍ら、毎日大好きなイラストを描き、創作活動に励んでいる。一枚の絵を仕上げるのに短いときは2時間程、長いときは5時間程かかるのだそうだ。
アメリカ人の父と台湾人の母を持ち、ロサンゼルスに生まれ、その後香港に渡った。中国語と英語を駆使するバイリンガルだ。性格は比較的大人しく、口数が多い方ではないが、彼のイラストや言葉、視線から彼の強い意志と絵に対する熱い思いを感じとることができる。「将来はマンガの学校に通い、もっと立派なマンガ家になりたい」と彼はうれしそうに話してくれた。

gitta/ 韓国】
彼ら三人はこのイベントのために韓国からやってきた。真ん中の男性の名はgittaといい、現在は髪の毛を伸ばしているが、髪の毛が短かった頃に「新生活」というキャラクターを作った。このキャラクターは当時の彼自身をモチーフにしており、シンプルな線で描かれ、大きい頭と離れた目が印象的だ。彼が作ったキャラクターに共通している点は、皆シンプルで、のほほんとしていて、なんとも癒される。「生活リズムの速い現代社会に生きる人々に、リラックスしてのんびり生活してほしい」という願いがこれらの作品にこめられているという。彼は作品を通じて我々に非常に大切で忘れがちな何かを訴え続けているのだ。

JOY (喜び) / 日本】
写真に見えるのは人形を使った作品であるが、あなたは「人形なんてつくれるの?」と思うかもしれない。実はこれは球体関節人形というアートなのだ。まず作る人形をスケッチし、次に針金で芯を作り、更に特殊の粘土で肉付けし、形を整える。一つの人形を作るのに何ヶ月もかかる困難な作業だ。彼女の作った人形はとても美しく、思いにふけているような表情で、多くの来場客はその美しさをカメラに収めたことだろう。今回初めての出展をしたJOYさんは「他の出展者からパワーと刺激をもらい、大変勉強になった。みんなの熱い思いと真剣さを感じた」とブログに書いている。

三浦志保 / (日本)】
今回デザイン・フェスタの出展が四年目に突入した三浦志保さんは革素材を生かしたハンドメイド雑貨を作っている。イベント当日はカッターと刻印を使ってライブカービングパフォーマンスを披露してくれた。細かく根気のいる作業だが、完成したものはなんとも壮観である。革とは思えないほどリアリティがあり、また革ならではの味が出ている。
彼女とレザークラフトの出会いは、約10年前旦那さんが革に興味を持って独学したのが始まりだ。日本アメリカカービングクラフト認定講師の資格を取得し、お客様の満足のために努力を惜しまない。明るく親しみやすい性格も印象に残っている。

HOSHI NO SUMIKA maki/ 日本】
彼女の作品には鮮烈な印象を与えられた。特徴は人物の鼻と色彩と輪郭。トレードマークの鼻はインパクトがあり、色は原色のみを使用し、輪郭は太い筆で力強く描かれている。モチーフは彼女と同年代の女性の顔で、凛と自立した強い印象を与える。会場には彼女のイラストが入ったポストカードや T シャツなどのグッズを展示販売し、多くの女性客を惹きつけていた。地元の神戸を中心に活動しているが、有力新聞にも複数回取り上げられ、確実にその地位を高めている。「活動の場を神戸からもっと広げたいし、海外でも勉強してみたい」と貪欲に話す彼女は輝いていた。


エキゾチックキャラバン・高田大サーカス
初日最初のショーを飾ったのはこの妖艶なサーカスだ。柔らかく官能的な動きのベリーダンスとサーカスをコラボレーションした異例のユニットである。セクシーで艶やかな衣装をまとった美女たちがエキゾチックな歌を歌いながらベリーダンスを踊り、会場の雰囲気を一気に盛り上げた。

SHINOBI-TRY
「武術、ダンス、アクロバットの融合」をコンセプトとした超絶アクロバットパフォーマンス忍者集団である。気持ちの変化を体の動きで表し、ポーズをしっかりと決める。観客を驚かせると同時に、大変楽しませた。「かっこいい!!」との絶賛が会場に溢れていた。

 

Bantus Capoeira Japan
「カポエイラ」というブラジル生まれの格闘技を披露した。格闘技と言っても音楽あり歌あり踊りありだから、とても楽しい!軽快な音楽のリズムに合わせて側転したり、キックしたりするなど、出演者の体の柔らかさと運動神経の抜群さにただ驚かされるばかりだ。会場の観衆に簡単なステップの踏み方を教え、一緒にカポエイラをやり、参加型の演出にすることで会場が一つになった。

ビビ
「あの子のお祝いをしよう。とびっきりのお祝いをしよう。そのためにならどこへでも行こう。なんでもしよう。わたしたちは、人生で最良の時間をいったいいくつ作れるのだろう。」5人の女の子の美しい物語から、言葉にならないほどの感動を得た。

 

日焼けしそうな屋外、ロック・パンク・ファンクはもちろん、ジャンルの枠を超えたオリジナリティ豊かな20バンドがスピードあふれるライブで会場を盛り上げた。Raiden+桃尻東京テレビジョン+Stock Manなどなどの登場で会場はますますヒートアップ!聴衆は音楽のリズムに合わせてジャンプしたり、手を振ったり、我を忘れて熱狂した。

デザイン・フェスタはアーティストやクリエーターの天国だ。なぜならそこには「自由」「エネルギー」「刺激」があふれているからだ。「何かを伝えたい」「私を知ってもらいたい」「この作品を多くの人々に見てもらいたい」という思いさえあれば、誰でもそこに行くことができる唯一のアートイベントなのではないかと思う。アーティストはそこで「自分を確認」し、「表現」という共通の目標を持つ人々と刺激を交換する。更にその刺激をエネルギーに、より豊かな創作活動に打ち込む。来場客もまた出展者からインスピレーションをもらったり、新しい自分に出会ったり、人生をより豊かにするヒントを得る。このような良い循環を作ったのはまさに「デザイン・フェスタ」である。
取材後記を書いている今、私は次回のデザイン・フェスタに思いを馳せてみる。そこにはきっとアーティスト同士が、アーティストと来場客が一層美しい交響曲を奏でていることでしょう。

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