2010年8月25日 特別増刊(第46号)

日本を訪れたことがない方でも、「京都」については聞いたことがおありだろう。この日本で最も有名な歴史の街は、日本列島の中心の関西地方に位置している。西暦794年に平安京が建設されてから、大政奉還によって1868年に東京に都が移るまでの1000年の間、京都はずっと日本の都であり続けた。織物、陶磁器、漆器、染物など、日本の伝統工芸の生産地であるばかりでなく、華道、茶道が栄えた場所でもあり、まさに「本物の日本」なのである。

かつての中国人の日本旅行と言えば、ツアーグループに参加して東京、大阪、名古屋、京都などを駆け足で回り、途中で景色を眺めることはできても、各地の人々の生活を深く知ることは難しく、表面的な理解にとどまっていた。だが近年は「自由旅行」が徐々に開放され、多くの人が家族や友人と共に日本を深く理解する旅を計画するようになった。東京ではショッピングをし、北海道では大自然を味わうことができる。だが、心からの静かな感動を求めるなら、京都は最適な旅行先と言えるだろう。今回みなさんにご紹介するのは、普通の外国人観光客のための旅行スケジュールではなく、日本人が京都に行くときの楽しみ方である。さあ、ご一緒に本物の京都を味わってみよう!(劉詩音執筆)

宿泊で日本の心を体験する

8月になると、京都は旅行シーズンに入る。この時期に観光をする場合、まずしなければならないのは部屋の予約である。京都の宿は大きく二種類に分かれ、一つはみなさんよくご存知の西洋式ホテルである。京都には世界的に有名なホテルチェーンがいくつかあり、規範化された管理とサービスで、安心して宿泊できる。しかし今回みなさんにご推薦したいのは、伝統文化を備えた日本式旅館である。優美で品のある環境が京都の景色と融け合って、部屋からも食事からも、これぞ本物という京都を体験することができるのだ。

予算が充分で、日本語がわかる場合は、百年以上前の建築を改修して使用している日本旅館を選ぶこともできる。だがもし快適な環境や、至れり尽くせりの日本式サービスを希望するならば、新式の日本旅館を選ぶのが最もよいだろう。京都の繁華な地域にある「平新」は、そのような日本旅館である。地下鉄「四条駅」で下車し、徒歩3分のところにある。黒と白を組み合わせた外観は、素朴で清潔感に溢れている。明るく広いロビーや、従業員の中国語によるサービスは、異郷にいることをしばし忘れさせてくれるほどである。

チェックインの手続きが終わって旅館に入っていくと、ジムもバーもなく、豪華なシャンデリアもシルクのじゅうたんもないのが、普通にイメージするホテルとはまったく異なるところだ。ここの部屋はすべて日本式のたたみの部屋であり、どの部屋も10畳以上で、風呂と手洗いが設置されていて、非常に広くて快適である。

日本式のふすまを開けると、たたみ独特の爽やかな香りが漂ってくる。扉を閉めると、たちまち周囲の静けさが感じられる。座卓の前に坐って、熱い日本茶をいれ、窓の外の日本庭園のよく手入れされた草花を眺める。こんな静かな気持ちは、何年も味わったことのないものだ。疲れた心が静かな雰囲気の中で癒され、旅の疲れも一気に吹き飛んでしまう。

大都市の華美に慣れた心でここに来ると、「簡素」ということを改めて深く考えさせられる。部屋はたいへん清潔で、しつらえも非常にシンプルだ。伝統的なたたみ、部屋には座卓が置かれ、壁には絵がかかっている。昼間は部屋の中に寝具の類は見当たらず、夜になると従業員がたたみの上にふとんを敷いてくれる。

食事の中に細やかさを味わう

平新に泊まったら、絶対にはずせないのが出される料理である。人気最高の平新の夕食は、京都の会席料理としゃぶしゃぶだ。日本旅館の夕飯は、それぞれの部屋でいただく。従業員が、精緻に作られた食事を一つずつ運んでくれる。前菜から始まって最後のデザートまで、ひとつひとつの料理が美しく精巧に作られて、まるで芸術品のようだ。味の方も、その外観に負けてはいない。最も新鮮な季節の食材を選び、丁寧に組み合わせて調理した美食は非常に繊細で、味も重層的である。細かく丁寧に味わってこそ、そのすばらしさを感じることができる。

朝食の京都のおばんざい料理も、是非味わうべきおいしさだ。「おばんざい」とは、京都の長い歴史と伝統の下で育まれた家庭料理である。その内容は、えび芋と棒鱈で作られた最も代表的な京都料理である芋棒、さらには冷奴、あなご、かぶ、油あげなど、京都料理では不可欠な新鮮な食材がそろっている。早朝に起きて、朝食で京都の民間の味を味わえば、満足感いっぱいになるだろう。

サービスに人々の気風を感じる

日本旅館は気持ちのこもった丁寧なサービスで有名だ。平新のすべての従業員の手厚いもてなしに、まるで家にいるような気分になれる。彼らはお客さんのためにすばらしい料理を運び、寝床を丁寧に準備してくれる。もし旅行について質問があれば、中国語のできる従業員が親切に答えてくれ、京都の歴史や風土、人情、さらには旅館周辺の観光スポットも説明してくれる。旅館についての面白い話もいろいろ話してくれ、友達と話しているような気持ちになれる。

平新に泊まったら、従業員とおしゃべりをしないのはもったいない。外国人観光客にとっては、現地人の生活を深く知ってこそ、その国全体の魅力を体験することができる。言葉の壁に阻まれて、多くの場合、日本旅行で一般の人と交流するのは難しい。中国語サービスのある平新では、この絶好の機会を逃さないでほしい。

また、平新のサービスにおいては、お客さんのプライバシーはできる限り尊重してくれる。何もない時は、旅館内はたいへん静かで、従業員同士の話し声も聞こえない。従業員は、お客さんが必要な時だけ登場するのである。

春秋は必ず訪ねるべき嵐山

京都の有名な観光地については、あまり説明しなくてもネットやガイドブックで細かく紹介されている。京都に来た場合、名所旧跡を鑑賞して伝統工芸を買うだけでなく、自然の風景もすばらしくて去りがたい思いにさせられる。春秋の二つの季節では、嵐山に行くことをお勧めする。

嵐山には四季を通じて鑑賞すべき自然の景観がある。桜まつりは通常4月に始まり、花の季節は一週間ほど続く。日本人の花見は、心で桜を鑑賞し、春をめでるもので、花見の歴史は非常に古い。日本人の心の中では、京都はロマンチックな花見の場所であり、嵐山は花見の季節になるたびに多くの人が集まってにぎやかになる。

もう一つのよい季節は、立秋の頃である。中国に比べて日本の秋は長く、世界で最も紅葉の美しい国の一つとされている。京都は紅葉を鑑賞する有名な場所であり、嵐山、嵯峨野付近の栂尾、人の少ない大原などは、紅葉が美しいことで名高く、多くの観光客をひきつけている。

見逃せない二つの祭り

京都ではほとんど毎日、お祭りやイベントがあり、地方の独特の風情がある。最もにぎやかなのは祇園祭(7月1日〜29日)と時代祭(10月22日)である。秋に京都旅行をする場合、時代祭は見逃せない。

時代祭は平安神宮の祭りで、京都が都になってから1000年あまりの間の風俗習慣を、それぞれの時代の風俗で再現して見せるものである。明治維新から始まって、平安時代までさかのぼる風俗絵巻には2000人もの人々が参加し、日本の歴史絵巻の美しさを目の前に見るような気持ちになる。

ゆかたの着方を覚えて和風の精髄を知る

誰もが憧れる美しい和服だが、着方は非常に複雑だ。だが和服を着て京都市内を観光したら、きっとすばらしい思い出になるだろう。旅館平新のすぐ近くには、その夢が実現できる貸着物屋もある。

早起きした日に歩いて貸着物屋まで行って朝食を食べ、それから気に入った和服を選び、専門の人に着付けをしてもらうことができる。恋人同士や夫婦なら、一緒に和服を着るのはいい記念になるだろう。着物は一日借りることができ、夜旅館に帰るときに返せばよい。

(ヒント)京都の交通

バス:一般のバスは薄緑色で、車体に濃い緑のストライプが入っており、カラフルなバスもある。後ろのドアから乗車し、整理券の箱から整理券を受け取る。市内の同料金区間内は200円である。それ以外の区間は、乗車した時に受け取った整理券の番号とバス正面に表示された金額を見て、料金を整理券と一緒に運転手のそばの箱に入れ、前のドアから降りる。事前にコインに両替しておくこと。12歳以下の子どもは半額で、成人一人の料金で6歳以下の子どもを二人連れて乗れる。

地下鉄と電車:市内には南北に運行する烏丸線、東西に運行する東西線の二本の地下鉄があり、京福電車、京阪電車、阪急電車など6種の電車がある。プリペイドカードを使えば、駅の改札口をそのまま通ることができる。

平新旅館

 

所在地:京都府京都市中京区蛸薬師通高倉西入
交通:JR京都駅から地下鉄に乗り換えて4分、四条駅で下車して、徒歩3分
私鉄の阪急、烏丸駅から徒歩3分
電話/FAX:075−221−0121/075−231−2609
対応言語:英語、中国語

●京都の旅館「平新」 http://www.hirashin.co.jp/index.html (日、英、中)

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