芥川賞と直木賞
昨日(7月13日)、日本の文学界最高の賞である芥川賞と直木賞の第135回受賞者が決定し、芥川賞は伊藤たかみ氏の「八月の路上に捨てる」、直木賞は三浦しをん氏の「まほろ駅前多田便利軒」と森絵都氏の「風に舞いあがるビニールシート」に決定した。
日本ではこの二つの文学賞が、もはや文学の領域を超えて、社会における一つの象徴的存在となっているが、そのことは生前の芥川龍之介や直木三十五にとっては思いもよらないことに違いない。
ところで、この受賞者はどのようにして選ばれるのだろうか?
芥川賞と直木賞は年に二回選考され、上半期は前年の12月からその年の5月の間に、下半期は6月から11月の間に発表された作品が対象である。芥川賞の対象は新聞、文芸雑誌、同人誌などに掲載された純文学短編小説(主に無名・新進作家)で、直木賞は単行本や新聞、雑誌に発表された短編・長編の大衆文学作品(主に無名・新進・中堅作家)が対象となる。まず作家、評論家、編集者などに大量のアンケートを行って候補作品を推薦してもらう。次に、日本文学振興会が5人一組(芥川賞4組、直木賞5組)、計45人の選考組織を編成し、10日ごとに3〜4点の作品を選出する。その後、各グループが推薦した5冊の本を集めて全体会議を行う。このような「選考会議」が計14回行われ、最終的に5〜6冊の候補作品にしぼられる。
最も緊張する瞬間は、上半期については7月中旬、下半期については1月中旬に、選考委員会のメンバーが築地の料亭「新喜楽」で行う最終選考である。決定するとただちに、家で知らせを待っている受賞者と落選者に直接電話で通知される。作家たちの家の外で待っている記者たちもそれによって喜んだり悲しんだりということになる。その後、日比谷の東京会館で記者会見と授賞式が行われる。
ひとたび芥川賞か直木賞を受賞すれば、原稿の依頼が殺到するようになる。一人の作家にとっては、生涯収入が少なくとも2、3億円は増加するのである。(本文は雑誌「ダカーポ」に掲載された文章をリライトした
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