Web 2.0の作業環境
静岡県伊東市の温泉旅館から、キーボードをたたく音が聞こえてくる。5台のノートパソコンの前で、男女5人が夢中で話し合っている。――これは今日本のIT業界で流行している「開発合宿」の光景である。普段の作業環境を変え、集中することで作業効率が高まり、雑事や電話で思考を中断されることがなくなるという利点がある。
神奈川県鎌倉市のある会社では、今年五月にイタリアのフィレンツェで一ヶ月間「臨時事務所」を借り、社員の三分の二が滞在した。週末は自由観光ができる。社員の想像力を刺激し、充実した楽しい気持ちで仕事をしてもらうことが、最大の目的である。
mixi社では、週に一日「ワンデイフリー」を行う制度があり、この日は業務範囲以外の自由なチャレンジを行うことができる。プログラマーは、自分のやりたいことをやった後の方が、残りの四日間の効率が高まるのだそうだ。
プレゼンで評価されると、会社のサーバを自由に使用できるようになる企業も出現している。ドメイン取得の費用は会社負担であり、勤務時間中にも自由に自分のサイトで作業することができる。「面白いことをやりたいというのが優先。個人の運営するサイトであっても、そのノウハウはきっと会社の業務に役立つはず。」とのことだ。
ネットワークの新しいトレンドであるWeb 2.0は「からっぽ」のものを表現しているのではなく、融通性があって柔軟な思考と寛容で開放的な精神を表現している。このような精神に導かれて、日本の新しい企業は斬新な仕事環境と優秀な企業文化を絶え間なく生み出しているのである。(本文は雑誌「AERA」の関連記事をリライトした) |