こんな電動自動車は、絶対注目を浴びるに違いない。みなさんもチャンスがあれば是非一度乗ってみたいと思われるだろう。車体全体に漫画が描かれ、しかも無料で借りることができる。これは、痛車が好きな人や、電気自動車に興味がある人にとって、たいへん大きなニュースと言えるだろう。無料でリースできるこのEV痛車は、1月31日に鳥取県米子市に登場した。漫画やアニメのキャラクターが描かれた車を「痛車」と言って、若い人の間では人気があるが、電動自動車の痛車はたいへん珍しい。自治体が所有する車両を痛車に改造するというのも、全国では前例のない試みだ。
米子市では、太陽光発電による電動自動車の共同利用が地域にどんな利益をもたらすかを検証するため、去年の11月から4台の電動自動車を設置して貸出実験を行っている。痛車はそのうちの一台で、絵は同市出身のイラストレータ、赤井孝美さんが創作したキャラクターだ。猫をモチーフとした三人の少女と、四季の特色を表現した風景が車体全体に描かれている。赤井さんは、米子市の人は猫好きというイメージがあるので、擬人化した猫を描くことを思いついたと言っている。この猫少女たちは、クワトト、クロッキー、ミケノンと名付けられている。車体の右側にはクワトトと山陰歴史館、米子城址、米子水鳥公園、中央は眼帯をしたクロッキー、左側はミケモンと旧日野橋、大山、皆生海岸などが描かれ、これらはいずれも米子市の代表的な風景である。赤井さんは、乗車する人がアニメキャラクターに興味を持つだけでなく、車に乗って米子の景色を発見して、楽しさを味わってほしいと語っている。
EV痛車は同市の法勝寺町の複合商業施設「善五郎蔵」に設置される。11月には鳥取県で第13回国際マンガサミットが開催される予定で、法勝寺町はマンガファンのイベントが盛んな地域でもあるので、町の宣伝の一環としてこの痛車が製作されたのだ。担当者は、痛車に乗るために観光客が訪れてくれれば嬉しいと言っている。EV痛車は一日最長で4時間借りることができ、これに乗って観光をしたりビジネスを行ったりしてもかまわない。貸出期間は2月末までで、法勝寺商店街に設置された無料太陽発電充電スタンドで充電することができる。EVステーションの予約電話は、0859−33−7723である。(緋梨執筆)