「科学は人間本位」のものではあるが、美しい地球の住人として、我々は自分たちの生活をますます充実した便利なものにすると同時に、科学技術を用いて、地球や、我々と共に地球に住む生きものたちを保護するための努力をしている。自家用車の普及に伴って、地球の資源の問題、温室ガス排出の問題、交通渋滞の問題など、自動車に関わる環境保護の問題が、メーカーや研究者や消費者の注目を集めるようになってきている。世界十大自動車メーカーの一員であるHondaも、自動車の環境問題に常に注意を払い、科学技術によって、より環境に優しい走行を実現することを目指している。
国土交通省が提起し、Hondaが開発した近距離移動用の超小型電気自動車「マイクロコミュータープロトタイプ」が先ごろメディアに公開され、2013年から実証実験が始まる。現在のところ、この超小型電気自動車の設計では、大人1名と子ども2名が乗車でき、子どもの通学の短距離送迎などに使用可能である。これによって普通の自動車を購入したり維持したりするための膨大な費用は不要になり、日々値上がりするガソリン代も節約できる。しかも完全に電力によって動くので、環境保護と省エネも実現している。
現在の研究においては、太陽エネルギーによる充電の可能性も検討されている。そうなれば、100%の環境保護車両になるわけだ。現在開発中のこの電気自動車では、バッテリーやモーターなどの設備はすべて床下とリアスペースに配置されているため、ユーザーの必要に応じて、高齢者の使用に適した車両にするなど、自動車の内装を変更することも可能である。またこの自動車は、ユーザーのタブレット端末を使用して走行距離などのデータを表示したり、ナビゲーションやバックモニターを行ったりすることもでき、真の意味での自家用車のインテリジェント化を実現しているのだ。
現在の研究では、Hondaの研究チームは、自動車用バッテリーを家庭用蓄電池としても使えるものにしようとしている。周知の通り、世界の中でも地震の多い国である日本では、災害後の電力供給が、多くの科学者が解決方法を模索している重要な研究課題である。この電気自動車があれば、深刻な災害が起こって電力がすぐに供給できない場合も、家庭に電力を送ることができるのである。
この小型電動自動車はまだ研究の段階だが、各大手メディアを含む広い範囲からの注目を集めている。そう遠くない未来に、Hondaの研究チームが、環境に優しい走行という我々の理想のために、すばらしい解答を与えてくれることだろう。(小雅執筆)