旅行や日常生活の様々な場面をカメラで記録するのが好きな人は少なくないだろう。市販されているカメラの種類はたいへん多いが、デジタルカメラ以外のカメラでの撮影を試してみたら、新しい発見があるかもしれない。今日はみなさんに、トイカメラと、トイカメラのカメラマン、雨樹一期(あまき・いちご)さんをご紹介しよう。
トイカメラとはもともと、カメラを構成する素材のほとんどが合成樹脂で、組み立て構造が簡単で、価格も安いカメラを指す。だが現在はやや変化があり、かなり精密に作られた一部のカメラもトイカメラに分類される。全体として、トイカメラは一眼レフカメラと違ってどこか不完全なところがあるのだが、その不完全なところがかえって面白味となっている。輪郭がくっきりしていることを強調する一眼レフと異なり、トイカメラの撮影効果はややぼんやりしてはっきりしないとも言えるが、それによって撮影時の独特な雰囲気を表現できるのである。またフィルムの選択によって、トイカメラは様々な色彩や撮影効果を出すこともできる。
トイカメラのカメラマン、雨樹一期さんは、1977年5月14日に大阪に生まれた。デザイン学科を卒業後、フォトカードブランドの「SNAP-SHOT」の契約作家として、全国の大手雑貨店で作品が販売された。初めての「ポスター展作家対決」では、新人ながら人気投票で連続一位となった。「しあわせの観覧車」などの写真集があり、東京、大阪、パリで写真展を行っている。現在は雑誌にコラムを連載すると同時に、コンテンツとして写真を提供、講師として撮影技術を教えるなど、幅広く活躍している。
雨樹一期さんは、観覧車、花、猫、空、自然の風景などを撮影するのが好きだ。彼のブログに載っている、「桜と日本最古の観覧車」「ポピーと葛西臨海公園の観覧車」の二枚の写真はとても感動的だ。桜の花の色は明るく、活気に満ちた春を感じさせ、心まで明るくしてくれる。ポピーの写真の時間は黄昏時なので、花と観覧車が柔らかい光をたたえ、とても懐かしい気持ちになる。彼の撮影した観覧車の写真を見ていると、乗ったことのあるものは懐かしくなり、乗ったことのないものは乗りたくなる。それは雨樹一期さんのトイカメラによる傑作の魔力に違いない。(秋桜執筆)