昔の「孟母三遷」は、子どもによい学習環境を与えるためでした。もちろん現在も、子どもたちが将来理想的な学校に入れるように、戸籍を理想的な学区の附近に移して住むという教育ママは少なくありません。さて、子どもの就学問題以外にも、居住環境を選ぶ時に重要な条件はあるでしょうか?
もしみなさんの住む街にかつてある有名人が住んでいたり、そこがその人の出生地だったりしたら、その街の知名度や雰囲気、さらには価値が異なってくるかもしれません。みなさんがどこに住んでいるかを聞かれて、「私は今@@に住んでいて、ここは@@@の生まれたところなんです。」と答えたと仮定してみてください。相手はきっと驚いて目を丸くして「へえ〜、すごいですねえ。」と言うでしょう。特に日本はこの面の普及や話題作りにおいてかなり徹底していて、有名人の効果を充分に利用するのが得意で、元々は目を引かないような辺鄙な場所や商店街などを有名人の名前を使って観光地にしたり、さらにはその場所の価値を高めたりします。こうした有名人に関係のある場所の近くに行くと、必ず博物館や記念館が作られており、キャラクターの像がいっぱいの商店街やテーマ館などがあって観光客が見学でき、さらにはいろいろなご当地限定の記念品まで売っており、見るものがいっぱいで嬉しくなります。
5月に私が札幌に旅行した時、現地の友人が私をむかわ町というところに連れて行ってくれました。ここは、2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章博士の出身地であるため、元々は静かだった村が注目されるようになったのだそうです。鈴木章博士は、このためにむかわ町の特別栄誉町民の称号を受けました。また私はかつて、坂本龍馬の生まれた高知県高知市上町に行って、坂本龍馬記念館を見学したことがあります。それから、漫画の巨匠、藤子不二雄Aさんの出身地である富山県氷見市に行って、忍者ハットリくんの彫像がいっぱいの可愛い商店街なども見ました。どこも特色に溢れていました。
ところで、6月に私は偶然東京の千駄ヶ谷附近を通り、ある店の入口に「森鴎外生誕150年」と書かれた文京区商店街連合会の宣伝ポスターが貼ってあるのを見かけました。それでここが大文豪の森鴎外と関係があると知って、家に帰ってからネットで調べたところ、森鴎外は東京の文京区千駄木の観潮楼に住んでいたことがあり、ここで多くのすばらしい作品が生まれたということがわかりました。彼の生誕150周年を記念して、森鴎外記念館が2012年11月11日に開館します。こうして見ると、文京区は文人の街なんですね。ここに住んでいる人たちは、たいへん誇りに感じているのではないでしょうか?私は漫画やアニメが好きなので、漫画家の出生地の近くに引っ越したいと思いますが、みなさんはどんなところに住みたいですか?(哈日杏子執筆、撮影)